「言語力」を高めるには

投稿者: | 2009-11-27

25日のNHK「クローズアップ現代」は、「言語力」がテーマでした。

今どきの若者は言語力に難がある。それを高めるためにどうしたらいいか。といった内容でした。

11月25日(水)放送
“言語力”が危ない
~衰える 話す書く力~

10月下旬、「言語力検定」がスタートした。言語力とは論理的にモノを考え、表現する力を指し、その低下が2000年以降進んできた、国際学力調査"PISA"での成績下落の一因と見られている。進学校でも、成績は悪くないのに「話し言葉のまま作文を書く」「語彙が少なく概念が幼稚」などの事態が相次ぎ教師たちは危機感を強めている。また、言葉の引き出しが極端に少なく、例えば「怒る=キレる」としか認識できないため、教師が注意すると何でも「キレた」と反発され、コミュニケーションも成立しなくなってきている。背景には、センター入試の普及で「書く」「話す」が軽視されたこと、携帯メールの広がりで文章を組み立てる力が育っていないことなどが指摘されている。子どもたちの「言語力」低下の実態を見つめ、育成のあり方を考える。
(NO.2822)

スタジオゲスト:鳥飼 玖美子さん(立教大学大学院教授)

若者を「ダメだ」と決めつける視点や、「正しい作文」を押しつけるところなど、疑問を持ってしまう箇所はありましたが、総じて刺激的で、面白い内容でした。

番組で強調されていたのは、幼いときから自分の考えを整理し、きちんと表現する機会やトレーニングの場を持つことが大事、ということでした。

学校には国語という教科があるわけですが、それが言語力養成にあまり役立っていないのだとしたら、深刻に考えないといけないかもしれません。個人的には、国語は「言葉とコミュニケーション」といった教科に衣替えするといいんじゃないかと思います。

ただ私から見ると、番組内の言説は「表現」に偏重しすぎているように思えました。言葉というのは過去からの蓄積としてあるわけですから、古典などの読書によって知識や思考の型を吸収するのも、同じくらい大事なのではないでしょうか。あと、これはあまり言われませんが、ことわざや故事成句を暗記するのも、結構役に立つと思います。実際の表現でそれ自体を使わないにしても、思考の密度や効率を上げるのに役立つでしょうから。

ともあれ、みんなが言語力を高めることは、本人の人生の質という点でも、社会活動のレベルという点でも、大いにプラスになると確信します。まずは、「言語力、大事だよね」という認識を、みんなで共有したいものです。

ちなみに私は、「言語力」というようなあいまいな用語は好きではありません。漠然としすぎていて、定義や測定ができないからです。これは最近よく聞く「コミュニケーション力」も、同様です。自分ではなるべく、こういう言葉を使わないようにしたいと思います。

 

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