命の選択

投稿者: | 2010-12-17

先週放送されたクローズアップ現代「ある少女の選択 ~“延命”生と死のはざまで~」を、あとから観ました。

NHK クローズアップ現代 ある少女の選択

腎臓の「人工透析」30万人。口ではなくチューブで胃から栄養をとる「胃ろう(経管栄養)」40万人。そして、人工呼吸器の使用者3万人。「延命治療」の発達で、重い病気や障害があっても、生きられる命が増えている。しかしその一方、「延命治療」は必ずしも患者の「生」を豊かなものにしていないのではないかという疑問や葛藤が、患者や家族・医師たちの間に広がりつつある。田嶋華子さん(享年18)は、8歳で心臓移植。さらに15歳で人工呼吸器を装着し、声も失った。『これ以上の「延命治療」は受けたくない』と家族と葛藤を繰り返した華子さん。自宅療養を選び、「人工透析」を拒否して、9月、肺炎をこじらせて亡くなった。華子さんの闘病を1年にわたって記録。「延命」とは何か。「生きる」こととは何か。問いを繰り返しながら亡くなった華子さんと、その葛藤を見つめた家族・医師たちを通じて、医療の進歩が投げかける問いと向き合いたい。

幼い頃から医療の力で生きてきた18歳の子が、「もういい」と決断を下す。父親は「頑張って生きよう」と説得を試みるが、少女の意思は堅く・・・。というとても重いテーマの考えさせられる番組でした。

印象的だったのは、華子さんの生命観や人生観が、18歳の人とは思えないほど「しっかり」としていたものだったということです。端から見れば大変な境遇ですが、だからこそ見えるもの、感じることもたくさんあるのでしょう。そしてだからこそ、彼女の決断は生半可なものではないということが、よく分かりました。

彼女の選択について第三者がとやかく言うことは、おこがましいことだと思います。ただ我々としては、テレビカメラの前に自分の姿をさらしてくれた彼女の姿を通じて、生きることや医療との向き合い方を、我が身に引き寄せて考えることしかできないでしょう。

抽象的な理論などではなく、具体的な事例を通じて考えること。そして、表面的な理解にとどまるのではなく、一つの事例をとことんまで掘り下げること。こうしたことが、ポイントかなと考えます。何にしろ、現代の我々はえてしてこうした問題を避けがちなので、「きっかけ」をもらったというただ一点だけでも、華子さんには感謝したいと思います。そしてご冥福をお祈りいたします。

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