誰のための葬儀か

投稿者: | 2006-03-02

葬儀は誰のためにあるのでしょうか。少なからぬ人が「故人のため」と答えるかもしれません。けれども葬儀というのは、まず第一に遺された人、とりわけ家族など身近な人たちのためにあるはずです。


大切な家族を喪うというのは、悲痛な体験です。そこで日常生活を一時ストップして、葬儀という儀式を通じて故人との「別れ」を受け入れていく。葬儀が終われば、辛いながらもまた徐々に日常生活に戻っていかなくてはなりませんから。そうしたことが、葬儀の最も大きな意義だと思います。

その意味で、以前からの私の持論なのですが、故人が生前に自分の葬儀についてあれこれ注文を付け、結果として遺族の心の癒しがなおざりにされるようでは、その葬儀はつまらない葬儀と言わざるを得ません。仮にそれがどんなに独創的で、緻密に構成されたものであったとしても。

そうしたことを思うと、今後の葬送は「故人の遺体・遺骨の処置」「故人との思い出の回想」を軸とした身内中心のものになっていくのが、自然の流れと思います。故人のことをよく知らないような「関係者」は排除されていくのが当然でしょう。そして当たり前の話ですが、葬儀は葬儀会社を儲けさせるために存在するのでもありません。

我々はこれからも、「遺された者たちのための葬儀」という視点を常に持ち続けていたいものです。

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