先月、2015年時点の生涯未婚率のことがニュースになりました。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の発表を受けてのことです。
生涯未婚率、男性23%・女性14% 過去最高:朝日新聞デジタル
50歳まで一度も結婚したことがない人が2015年に男性で4人に1人、女性で7人に1人いたことが、国立社会保障・人口問題研究所の調査で分かった。こうした人の割合を示す「生涯未婚率」は、10年の前回調査から男女とも3ポイント以上増えて過去最高を更新した。
研究所は5年に1回、国勢調査を分析して生涯未婚率を割り出している。今回は男性が前回調査比3・23ポイント増の23・37%、女性は同3・45ポイント増の14・06%だった。男性は1970年まで、女性は60年まで1%台が長い間続いたが、その後、増加傾向に拍車がかかっている。
なぜだか、NHKは5月になってからこれを報じていますね。
50歳の結婚未経験率が過去最高 男性は4人に1人 | NHKニュース
50歳の時点で、結婚を経験していない人の割合について国の研究機関が分析したところ、男性はおよそ4人に1人、女性は7人に1人と、男女ともこれまでで最も高くなったことがわかりました。
見出しに「生涯未婚率」という語を使っていません。わかりやすさということが大きいでしょうが、50歳以降で結婚する人も皆無ではないという事情に配慮した面もありそうな気がします。
なお生涯未婚率というのがややくせ者でして、45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率を平均したものを「50歳時の未婚率」として算出、それを別名「生涯未婚率」と呼んでいるわけです。合計特殊出生率と並んで人口統計を読む上でとても大事な指標ですが、今後日本人の婚姻動向がさらに変わってくれば、算出方法や対象となる年齢も変わってくるかもしれません。
ともあれ、
- 生涯未婚率という指標がある
- 直近の国勢調査(2015年)に基づく生涯未婚率は男性23%、女性14%
- 生涯未婚率は上昇傾向にあり、歯止めが掛かるメドは立っていない
といったあたりは、どの業界にいてもどの年代であっても「日本人の必須知識」と言ってよろしいかと思います。
その上で、
- なぜ未婚率が上昇しているのか
- 未婚率が上昇すると社会や経済にどんな影響があるのか
- 未婚率上昇に歯止めを掛けることは可能なのか
- 可能だとしたらどんな手を打つべきなのか
こうしたことが、もっともっと世の中全体で語られるべきでしょうね。何しろ、婚姻外で子供を持つことが稀なこの日本においては、未婚率上昇は少子化に直結します。合計特殊出生率を上昇させる、あるいは少なくとも合計特殊出生率の低下を食い止めようと思うなら、未婚率上昇を放置したままということはあり得ません。
さて私自身は男性なので男性の生涯未婚率について注目してみますと、1990年の手前で5%を突破してからは明らかに右肩上がりで上昇しています。結婚するのが当たり前というわけではなくなってきたわけです。今は「4人に1人」と言っていますが、「3人に1人」になるのは時間の問題でしょう。そのあとどこまで上昇し続けるかですが、4割程度まで行く可能性は多分にありますし、遠い将来には過半数をうかがうことがあるかもしれません。
未婚者以外に死別者・離別者も一定の割合でいます。成人全体の中で婚姻状態にある人の方が少数派ということになれば(もっとも、男性に限った話ですが)、以前の「皆婚社会」との対比で「非婚社会」と言ってもいいくらいです。それがどんな社会になるのか、防ぐことはできるのか、はなかなか難しい問題です。
社人研の「結婚・離婚・配偶関係別人口」に関わる各種集計は下記。特に「図6-5-2 性,年齢別有配偶割合:1950~2015年」はなかなか興味深いグラフなので、ぜひ見てみてください。