子を持ったことのない私は、実際に子供のいる人たちとは感じ方や価値観も違う面もあるでしょう。
それでも、強く感じていることなのであえて書きます。
結婚した夫婦が自分たちの間に子供をもうけたいというのは自然な感情だと思います。ただ、子供がほしいという欲求が強まりすぎて「不自然」な技術や手段を使ったり、ましてや特定のパートナーもいないのに自分の遺伝子を残そうとしたりするのはやはり妄執と言わざるを得ないと思うんです。
おのれの人生の枠内で完結することならば、どんな妄執を抱こうがその人の自由です。ただ子をもうけるというのは生まれてくる子供自身の人生を大きく左右するだけに、勝手とか自由では済まされないはずです。
法で規制する、端的に言えば禁止するというのが手っ取り早い方法なんでしょうけど、それはやはり問題の解決にはなりません。問題の隠蔽と言ってもいいでしょう。闇で行われるようになったり、海外に逃避して行われるようになるだけだからです(件数は抑えられるかもしれませんが)。
一定の条件の下で認めた上で、その後の状況をきちんとチェック、あとあとにどんな問題が生じうるかということを世間に広く知らしめることによって、こうした妄執を持つ人自体が減っていく、というのが理想的です。
まずは社会全体でこのことに関心を持ち、一定の知識を蓄え、各所で議論していくことが必要でしょうね。議論すべきテーマというのは生殖医療、生殖ビジネス以外にも山ほどあるわけですが、社会の根幹をなすことだけにゆるがせにしていいはずがありません。
なお、こうした生殖医療等が少子化対策にも寄与するという意見もあるようですが、推進するにしろ抑制するにしろ全体の出生数に占める比率はさほど大きくならないでしょうから、当面はそうした観点は必要ないと考えます。
参考記事:時間と空間を超える生殖が日常となる現代??日本で求められる法整備とは? / 『生殖医療の衝撃』著者、石原理氏インタビュー | SYNODOS -シノドス-