お布施問題、ふたたび

投稿者: | 2011-08-05

全日本仏教会(以下「全仏」)がお布施をテーマにしたシンポジウムを実施、それをNHKが報じたので、ひとしきり話題になりました。

「お布施」の在り方で議論 NHKニュース

葬儀や法事の際の「お布施」の在り方について、仏教関係者と企業の担当者などが討論するシンポジウムが開かれ、お布施の金額の基準などが必要だとする意見と、それに反対する意見が対立し、折り合いはつきませんでした。

私の「遺言ニュース」でも、お伝えしています。

【イベント】全日本仏教会シンポジウム「葬儀は誰の為に行うのか?」 | 遺言ニュース

この件については、以前イオンがお布施の目安を設けて全仏と一悶着あり、それを産経が報じた際に、2本記事を書いています。

イオンのお布施問題が再燃 (2010-09-20)
仏教会はどうすればいい?(2010-09-21)

考え方は基本的に変わっていません。最終的には葬式仏教から手を引くべき、あるいは引かざるをえないのは明らかなので、「撤退戦」をどうするか、という問題なのです。言葉尻のこととかの些末なことは、どうでもいい話なんです。

ただ議論を概観していて思うのは、「客層」についてのイメージやとらえ方がまちまちだったりズレていて、話がかみ合わない面があるな、ということです。

大まかに言うと、現代日本人のお寺との関係は、

a)従来通りの菩提寺-檀家関係を維持している
b)いちおう檀家ではあるが、寺との付き合いは仏事の時のみ
c)菩提寺を持たないが、 葬式は仏式でやりたい
d)名実ともに無宗教

の4つの層に分けられるのではないでしょうか。

そして仏教界の直面している問題は、

  • 全体としてa)からb)、b)からc)、c)からd)という風に、下方へ移動して行っている
  • b)については、ますます疎遠になっている
  • c)はイオンや葬儀社、僧侶派遣会社に持って行かれている

a)の層については今のところ心配ご無用ですし、d)についてはいわば仏教を捨てた層ですので、寺があれこれできることは限られます。b)やc)にどう対処するか、そして仏教離れをどう食い止めるか(どうやって下方移動を抑えるか)、が核心なのです。

ただ残念ながら、そうした認識をお持ちのお坊さんは、決して多くないようです。たまにTwitterでものの分かっていそうな坊さんに絡んでみるのですが、全くと言っていいほど話がかみ合わないんです。一応私は「庶民代表」のつもりですので、葬式やお布施をめぐって坊さんと平均的都市生活者の間には、埋めがたい溝があるように思えます。

私はそこに、「寺の終わり」を見ます。今みたいな鈍感なありさまでは、近い将来、日本の寺の7~8割が立ちゆかなくなっても、私は驚きませんねぇ。

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