「頑張って」という言葉。私も日常ではよく使います。
けれども、鬱病などの患者に対して、あるいは介護や看病する家族に対しては、「頑張って」と言ってはならない、というのが「常識」ですね。
一番嬉しかった言葉(緩和ケア医の日々所感)
「退院し、ホスピスに向かおうとしていた時、
担当の看護師さんが、“がんばって”と言って下さったことが本当に嬉しかった・・・」
皆、えっ?という顔をしていました。
”がんばっている” 患者さんや家族は、
もうがんばれないくらいがんばっているのだから、
”がんばって”という言葉は避けるべきだと医療者は教えられていました。娘さんはこう続けられました。
「がんばってと言っていただいた時、
がんばれる力が残っていると言って頂いたんだ、
私にがんばりを期待して頂けたんだ、
まだ、あなたはがんばれるのよ、そう言って頂けたと思えたんです。」はっとしました。
教えは、「頑張って」と言ってはいけない、ではなく、「頑張って」と気安く言ってはならない、というものであるべきなんだと思います。言う人と言われる人の関係や、表情や口調などのメタ・メッセージによって、同じ「頑張って」でも受け取られ方が変わってくるでしょうから。
「頑張って」は、時に人を励ますこともできる。私はこれからも、気を付けながらも「頑張って」を使い続けたいと思います。もちろん、自分自身に対しても。